聖なるタトゥーデザインの宝庫、プラド美術館展に行ってきたれぽ
刺青を生業とするようになってから、宗教画を観に行く機会が増えた恵華-Keika-です(・H・)
今回は三菱一号館美術館で開催されている「プラド美術館展」へ行って参りましたので、個人的にとても惹きつけられた作品の数々をご紹介させて頂きます。
ペーテル・パウル・ルーベンス
『聖人たちに囲まれた聖家族』
細部まで描き込まれた人物と装飾。
人物をどこに配置するか、視線の先まで計算し尽くされた構図に圧倒されました。
どの人物がどこに配置されているかを注目することで、絵に込められた物語が見えてきます。
コルネリス・デ・ヴォス
『アポロンと大蛇ピュトン』
今回の展示の中では大きめサイズです。
弓矢を射るアポロンの側に天使と、巨大な蛇の怪物、ピュトン。
私が目に付いたのは背景の部分、ピンクががった空の色です。
淡い青からピンクへのグラデーションは朝の情景なのかな、などと思いを巡らせたのでした。
こちらは下絵も展示されていて、天才画家も下書きをするんだ!などと安心しました。
フアン・バン・
『スモモとサワーチェリーの載った皿』
何と言ってもサワーチェリーの透明感が忘れられない作品。
銀皿への映り込みと歪みのないハイライトが美しいです。
美味しそうと言うより美しい果物として成り立っているところが絵画だなぁと思いました。
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
『ロザリオの聖母』
この展示会の中で一番惹きつけられる空気を持った絵です。
ただの黒ではない黒色、深みのある赤と青の彩色。
ネットの画像なんかじゃとても良さが伝わらない、見るものを圧倒させる重圧感のある作品。
絵葉書がなかったのがとても残念…!
自らの十字架を引き受けるキリスト教徒の魂
こちらの作品は作者不明だそうですが、なんとも印象的な作品。
十字架を背負うキリストとキリスト教徒のとお姉さんとは裏腹に、山積みにされた十字架の無機質な雰囲気が対極的なコントラストを生んでいます。
よく見るとキリストの手の甲と足の甲には杭の跡、額には血痕が、女性の花冠の描き込みなど、細部のこだわりも見どころです。
ピーテル・フリス
『冥府のオルフェウスとエウリュディケ』
この作品を観た瞬間、超大作漫画「ベルセルク」を連想させました笑
中央に配置された男女より何より、空を飛んでいる異形の怪物に嫌でも目がいってしまいます。
宗教画で注目される作品は輝かしいモチーフが多いですが、この作品はその中でも異彩を放っていました。
ダーフィット・テニールス
『猿の画家』
『猿の彫刻家』
こちらの作品は対になって展示されていて、シリーズ物のようでした。
「猿真似では真の画家、彫刻家とは言えない」と言うような意味も込められているそうです。
主役を猿に置き換えて描くことで、作者のメッセージを伝える面白い作品です。
セバスティアーノ・コンカ
『エルサレムの神殿のアレクサンドロス大王』
美しく描かれたすべてと、登場人物の躍動感が目を惹く作品。
表情が読み取りづらいですが、人々に動きをつけて表現することで臨場感溢れる場面を演出しています。
光の当て方と、背景の描き込みはお見事の言葉に尽きます。
ルイス・パレート・イ・アルカーサル
『画家の妻、マリア・デ・ラス・ニエベス・ミカエラ・フルディニエ』
絵画は額に入れて飾るものですが、こちらの作品は絵の中にも額が描かれているところが個性的だと思いました。
筆で描かれた味のある木製の額に緻密に表情されたお花たち。
画家の奥様がとても大切に描かれている印象を受けます。
フランシスコ・デ・ゴヤ・
『トビアスと天使』
一度は見たことがあるであろう、有名な作品のひとつ。
解説で書かれていた天使の導きに感動し、後光の輝かしさと翼のシルエットが美しいです。
神々しさがしっかりと表現されていて、天使の表情にも魅入ってしまいます。
ビセンテ・パルマローリ・ゴンサレス
『手に取るように』
これはやられた!と瞬時に心動かされました。
淡い色合いでまとめられた彩色もさることながら、愛らしく美麗なご婦人は、読んでいた本を椅子に投げ置き、双眼鏡で海の方を凝視しています。
この絵画のタイトルは「手に取るように」。
なんてロマンチックなんだろう。
フランシスコ・ドミンゴ・マルケース
『眠る猫の頭部』
可愛い。これに尽きます。
私が見たときは確か、額の色が緑っぽかったので、全体的に引き締まって見えました。
がさがさとした筆使いで猫の毛並みが表現されていたり、耳の立ち具合が絶妙だったり、そのタイトルすらも猫好きの心を奪います。
この他にもたくさん気になる作品があって、紹介しきれないほど素敵な展示でした!
実物の絵画を観ると、ネットで見る画像などとは比べ物にならないほどの空気感と迫力を感じます。
恵華の知らない名作を知る機会であったり、タトゥーへのインスピレーションも湧いてきたりと、とても身になりました。